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2010/01/26 (Tue) ミステリ・ジョッキー

綾辻行人・有栖川有栖『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー1/2』講談社 2008.7/2009.11 読了。

いや、おもしろい企画を見せてもらった。ミステリ界の巨匠と言っても良い2人、40代後半であるが、もうそうであろう。ミステリ好きの人が全員知っている名前。そして絶賛の作品を次々と仕上げてきた2人。この2人の作風はかなり違うが、それぞれ惹かれ合うところはあるのか、一緒の仕事がよくある。『安楽椅子名探偵』という犯人当テレビドラマは伝説になっている。既にいくつもDVDになっているから、未見の人はいますぐに見なければならない。これほど論理的でしかも難解な謎解きがあっただろうか。

さて本書である。既に2冊出た。アイデアが前代未聞。対談集というのはよくある。アンソロジーもある。しかしその組み合わせはない。まるでDJのように、曲の合間におしゃべりをするように、短編をはさんで読んでもらう間に2人の対談が行われる。この組み合わせが誠に絶妙。

1冊目はかなりオーソドックスに、コナン・ドイル、江戸川乱歩、ディクスン・カー、泡坂妻夫、クイーンと紹介される。2冊目はかなり洒脱に、自作のほか何人かの短編が紹介される。それだけでもおもしろいが、とにかく対談がめっぽう楽しい。

いまだに本格ミステリがなぜ楽しいのか、それ自体が両者にとっても謎であり、その謎解きを楽しんでいるかのよう。両者が新本格派の騎手としてデビューして、既に20年が経った。この時期に若かった人は、感慨深いであろう。デビューしたてのころ、さんざんに人間が描かれていない、人工的なトリックなど何の意味があるのか、と叩かれた。しかしこの虚構の切り取り方も、また現実だったのである。

20年以上の年月は、両者の基本的スタンスも変えるかもしれない。「本格ミステリは決してパズルとイコールではない、けれどもパズルをテーマにしうる最も有効な表現形式である」(綾辻、第1巻、326)。「それ[感情を捨てて割り切れるもの]を捨てなくても小説は書けるというのが、推理小説のオリジナリティだと思います」(有栖川、第1巻、326)。

1980年代の後半、小説=人間を描く、という図式にさんざん抵抗してきた2人に見えた。有栖川のデビュー作は『月光ゲーム』、2作目は『孤島パズル』である。しかし20年後の2人はそのような図式が誤解を招くと認識するようになった。小説、物語であることが大事なのだ、と。

もちろん両者はデビュー作から、無機質な人間を描いてきたのではない。エラリィ、オルツィと渾名で呼ぶ大学生のサークルを描いても、その動機にはその当時の大学生にとって最も切実なリアリティを感じさせる物語であった。むしろ世間の方が誤解のレッテルを貼ったのであろう。そのレッテルに当人たちも逃れられなかったのかもしれない。

それが円熟味を増した中年の作家にとって、徐々にありのままを認める機運になってきたのだと思う。ミステリの楽しさを再認識させてくれる好著である。

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