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2010/05/18 (Tue) 僧正殺人事件

ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』創元推理文庫、2010.4 読了。

あまりに古典的な、あまりに古典的な本格推理小説。いや探偵小説と呼ぶべきだろう。何と、新訳である。これを皮切りに全12作をすべて翻訳しなおすというから、壮大な計画である。

さて、探偵小説の白眉、黄金時代を象徴する名作中の名作。この小説を読んでいないミステリ愛好家がいるとすれば、あまりにも幸福である。これから十分に堪能できる機会があるからである。1929年のアメリカ産。まさに大恐慌の直前に発表された爛熟する世界。イギリスの貴族趣味とアメリカの大衆趣味を完全にミックスしたファイロ・ヴァンスの世界。そのあまりにペダンティックな世界観は、類書を斥ける圧倒性を持つ。

思えば数十年前に読んだものだ。今回、改めて新訳を買い、再読してみた。だんだんに思い出してきて、最後は犯人も思い出した。しかしそれは小さな不幸に過ぎない。この世界観を読み込めるという幸福の方が圧倒的に大きい。

マザーグースに基づいた連続殺人! 現代科学の粋を総動員した推理合戦と犯人の狡知! なぜ戦間期にこれほどの傑作が次々と生まれたのか。その謎はいまだに解けない。生涯に12作のみを発表し、そのうち自分の予告通り、6作だけが傑作と認定される。あまりにも予定調和な作家活動!


(A)「あの男だけはいつも心理のバランスを保っていた。つまり、長きにわたる難解深遠な思索から生じる感情を、いつも解放するすべを心得ていた。平常の、口先に表われる嗜虐的な皮肉な態度と、急激な殺人衝動とは、心理的に同類なんだ。冷笑癖を思うぞんぶん発揮していれば、抑圧された感情の不断のはけ口となって、情緒のバランスを維持できる。皮肉で嘲弄癖のある人間はつねに安全なのさ。」

(B)「対照的に、自分の嗜虐性を抑圧して鬱積させながら、うわべだけはまじめな禁欲的な体裁を取りつくろっている人間な、いつなんどき危険な爆発を起こすかわからない。」(406)

さ、これがファイロ・ヴァンス名探偵の心理的分析というものである。これがどの程度、現在でも妥当性があるのかわからないが、なかなか人間の本質をついていないか。あるいはネット社会における匿名性の利点や、あるいはそれこそ残虐な本格ミステリの利点を示しているだろうか。

さて、あなたは(A)か(B)か、それが問題だ。Bishopのみが決められる。

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