勝手にコメントの輪が拡大しているようで、ニヤリとした柿柳です、こんばんは。
>これは初耳であった。僕の認識では、学習=learn、勉強=studyで、「学習」の方がある枠の範囲内のこと、たとえば授業の復習をするとか、教師に指定された問題集をやるとかいうもので、多少受身のイメージがあり、「勉強」の方が自分でテーマを設定して調べる、という積極的、創造的なイメージである。恐らく、世間的にもその方が一般的のように思う。(Adminではないけれど [ブログ篇])
これは気になる指摘ですな。困ったときは辞書に聞こうということで、いくつかの辞書を開いてみた。問題は、英語の語彙と、日本語の意味は分けて考えないといけないこと。なお、次は辞書そのままではなく、意訳である。
勉強:(1)学ぶこと。(2)修行や経験。(3)商人が安く売ること。(4)励み、努力する。(5)気が進まないことを仕方なくやる。[大辞林]
3つの辞書を比べてみたところ、勉強と学習はほぼ同義語として代替可能になるが、やはりニュアンスが異なる。原義は推測通り(4)である。わたくしの場合は(5)を重視したわけだ。ただ興味深いことに、広辞苑と大辞泉では、この意味は削除されているのである。強いられるという意味は薄れていると判断して良いのだろう。
学習:(1)学び習うこと。(2)系統的・計画的に学ぶこと。(3)経験を通じて知識や適応能力を獲得すること。[大辞泉]
学習に関しては、(2)の側面が学校での修得を前提にしているようだ。プログラムに沿って行うというイメージがある。ただわたくしの場合は、生物学で使うような(3)の意味を重視したと言えるだろう。
勉強は継続の努力という意図の側面が強く、学習は修得の結果という側面が強いのではないか。
さて、以上の日本語と英単語であるstudyやlearnは重なる場合もあるが、むしろ逸脱する。
study: (1)To apply the mind to the acquisition of learning、ということで、第一義はlearnと同じだろう。ただしやはり心理的な発端がある。(2)To follow one's educational or professional studiesということで、大学などで指導を受けることになる。
(3)To think intently; to meditate; to reflect, try to recollect somethingということで、これがわたくしの言いたいこと。つまりstudyは勉強という単語が対応するのではなく、むしろ研究するという幅広い単語である。
learn: (1)To acquire knowledge、やはり獲得が第一義となる。[Oxford English Dictionary]
さて、このような基本的な単語でも、あるいはだからこそ、1つの単語には複数の意味が混在している。それゆえ人々によってニュアンスの違いが出てくる。言葉を定義することの難しさであろう。
ともあれ、次のような真理は変わらない。
子曰、學而不思則罔、思而不學則殆。
子曰わく、学んで思わざれば則ち罔(くら)し、思うて学ばざれば則ち殆(あや)うし。(為政第二の十五)
Confucius said, “If you learn without thinking, you cannot understand truly. If you think without learning, you will be self-righteous.”
「学んでも考えなければ、[ものごとは]はっきりしない。
考えても学ばなければ、[独断におちいって]危険である」(金谷治訳注/岩波文庫)
学習と沈思の双方向性が確保された思考の状態を、学問・研究と定義して良いであろう。
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[仕事] 勉強と研究
「夏休みの宿題と自由研究(その2)」で「これはぜひ調べてみなけれないけない」と書いたのだが、これに関しては下記にリンクを張っておく。 14番目のサンダルの8月13日と8月15日 学ぶこと(今日の柿柳、2010/08/14) 特に後者は、柿柳先生にしては珍しく(?)真面目に調査 //Adminではないけれど [ブログ篇] 2010/08/19 02:36
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