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2011/03/17 (Thu) 直木賞受賞作

教授会で演説をぶった柿柳です、こんばんは。

奥田英朗『イン・ザ・プール』文春文庫、2006.3 読了。

この作家は有名になっていたので、知ってはいた。確か『最悪』という本を手に取ってみたのだが、普通のクライムノベルかと判断して、買うことはなかった。直木賞を取ったことも知っていた。

しかし新しい作家も挑戦してみるかということで、改めて手に取ってみた。1つは『空中ブランコ』という受賞作の第一弾であること、もう1つは「たちっぱなし」という収録短編に惹かれたためだ。

というように、5つの短編を集めた文庫だ。表紙もきれいであったし、割合に薄かった。伊良部総合病院精神科に飛び込む患者の話である。この伊良部医師が良い。二代目お坊ちゃんで、変わり者。「いらっしゃ~い」と患者を迎えてくれる脳天気な巨漢。そして注射好き。

さらにやる気のないたった1人の看護婦マユミ。この女、やたら美人で肉感的、しかもちらっと肌着を露出するのを楽しいんでいるよう。ただし恐ろしく無愛想で、美人が台無しになっている。

こうした造形の元、次々と患者が訪れる。いずれも強迫神経症なのだろうか。あることが気になって気になって仕方がなく、何かの症状が出てしまうのだ。それを脳天気な伊良部がああでもないこうでもないと脳天気な診断を下し、患者はばかばかしいと思いながら、最後はなるほどと氷解していく過程となる。

いずれも「執着」が主題であろう。表題作はブール通いが止められなくなるサラリーマン。「コンパニオン」では年増のコンパニオンが若さに執着する話。「フレンズ」は携帯が手放せなくなって、緩い友人の紐帯をどうしてもつないでおきたい男子高校生の話。「いてもたっても」は火を消したかどうかどうしても気になって出社もできなくなるサラリーマンの話。

いずれも、伊良部の珍妙な話術と態度が症状の緩和を導いていく。伊良部は子供のような無邪気さだから、世間体に対する執着はない。ただし自分の欲求には執着がある。このバランスが崩れたのが現代人というところだろうか。

とにかく読みやすい。軽妙な文体であるし、その割には何か筋の通っていそうな話である。
 

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