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2009/06/20 (Sat) 松本清張賞

広川純『一応の推定』文春文庫 2009.6 読了。

なるべく初物も読むようにしている。この作品は第13回松本清張賞受賞ということだから、ある程度の選抜は経ている。ただし往々にしてこうした受賞作でも駄作が多いので、すぐには飛びつかないようにしている。これは文庫でもあるし、何よりも惹句に、「まさに清張を髣髴とさせる」とあるので、あらすじを少し見てみた。保険業界の話のようであったので、買うことを決意する。この間、2分ぐらいか。

というわけで読んでみる。確かにこの賞にふさわしい。完全な重厚さはないが、こつこつと謎が暴かれていき、そこに社会に対する憤りが淡々と顧みられている。保険業界を扱かったものには『黒い家』があるが、そこまでホラーではなく、ごく普通の家庭を描く。しかしそこには子供の臓器移植というまさにここ数日にタイムリーな話題を扱っており、しかも保険調査員という裏側がわかる。

主人公は数日後に退職を控えた保険調査員。保険会社は何とか案件を自殺で処理し、保険金を払いたくない。保険会社に雇われている調査員ではあるが、最後は何が起こったのかを知りたいという純粋な好奇心に導かれて謎が徐々に解かれていく。

舞台は新快速が走る滋賀県の小さな駅。梅田の飲み屋も出てくる。なぜその男は電車にひかれたのか。この一点の謎が最後に収斂する。

この本は買いであろう。

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